
肩・肘
肩・肘
50歳前後に発症することが多いことから、五十肩と呼ばれていますが、原因のはっきりしない肩関節の疼痛と動かしにくさ(可動域制限)を主症状とした疾患のことをさします。「そのうち治る」場合もありますが、腕が上がらなくなる「凍結肩」という状態に陥ったりすることがありますので、一度受診いただきご相談ください。
症状
治療
薬
痛みが強い場合、消炎鎮痛剤などの内服や湿布などで鎮痛をはかります。
注射
関節の動きをスムーズにするヒアルロン注射や、炎症をしっかり抑え込むためにステロイド注射が有効な場合があります。
リハビリテーション
痛みや炎症でかたくなった関節に対して、物理療法や運動療法をおこないます。
サイレントマニピュレーション(非観血的関節受動術)
症状が慢性化すると、肩の可動範囲が狭い状態が続き凍結肩と呼ばれる状態におちいります。他の治療をおこなっても改善が乏しい場合には、サイレントマニピュレーションと呼ばれる治療方法があります。詳しくは医師にご相談ください。
腱板とは、肩を動かすための、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)という4つの筋肉の集まりをいいます。怪我や使いすぎなどで腱板が傷んだ状態を腱板断裂といいます。
症状
治療
痛みが強いうちは、鎮痛剤や関節内注射で痛みと炎症を抑えます。
痛みが和らいだら、リハビリをおこないます。腱板断裂が重症の場合や、上記治療で効果が乏しい場合には、手術を検討します。
肩を動かす筋肉である腱板に、リン酸カルシウムという結晶が溜まってしまうことを「石灰化」といいます。何らかの原因で、急激な炎症が起こり一時的に激痛を伴う疾患です。原因ははっきりわかっていません。偽痛風とも呼ばれる症状で、膝、手首など他の関節でも起こることがあります。
症状
治療
1週間程度で自然に治る場合が多いですが、痛みが激烈であることが多く、鎮痛剤やステロイド注射などを用いて炎症や痛みを早期に和らげます。
一旦痛みがおさまっても「石灰化」自体は残るため、繰り返し生じることもあります。その場合、石灰化そのものを治療する必要があります。
主に野球など投球動作を繰り返すことによって生じる肩関節障害で、野球以外でも、腕を強く振る動作を繰り返すスポーツで生じます。肩を構成している骨や軟骨、筋肉や腱の損傷が原因で起こります。
ジュニア期には特有の病態として上腕骨近位骨端線離開(じょうわんこつきんいこったんせんりかい:リトルリーグショルダー)があります。
症状
治療
一時的な局所の安静とリハビリが重要です。投球フォームの見直しや体幹・下肢の柔軟性と筋力の強化など肩以外のコンディションも整える必要性があります。
指を伸ばす、手首をそらすための筋肉は、肘の外側に集まって付着しています。手を酷使することによって、この筋肉に損傷が起こって痛みがでる状態です。1883年、テニスのバックハンドストロークで生じると発表されたため「テニス肘」と呼ばれていますが、実際は重労働だけでなく、家事やパソコンを使用するようなデスクワークなどでも多く発症します。
また、肘の内側が痛くなる内側上顆炎もあり、そちらはゴルフ肘と呼ばれることがあります。
症状
治療
肘だけでなく手指や手関節部も安静にします。消炎鎮痛剤のお薬や湿布を使用や、局所の負担を減らすための装具(サポーター)などを併用します。ステロイド注射は短期的には有効ですが、打ちすぎると慢性化してしまう場合があり注意が必要です。なかなか治らない場合は、手術加療が必要になる場合があります。当院では、体外衝撃波による治療もおこなっています(自費診療になります)。
スポーツや仕事で肘を酷使したり、骨折などのケガの影響で軟骨がすり減ってしまう疾患です。
軟骨がすり減ると、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のトゲができ、痛みがでたり肘の曲げ伸ばしが制限されてしまいます。進行すると、肘の内側を走行する尺骨神経が障害され、小指や薬指にしびれを感じたり、握力が低下したりする肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)を起こすこともあります。
症状
治療
肘の安静を保ちます。消炎鎮痛剤の投与や温熱療法を含めたリハビリなどの治療が基本となります。日常生活に支障をきたす場合は、手術治療が検討されます。
肘の内側を走行する尺骨神経が何らかの原因で圧迫されることで、薬指と小指のしびれや、手の筋力低下などが生じる疾患です。肉体労働やスポーツなどで肘を酷使する男性に多く、幼少期の骨折などのケガが原因で生じることもあります。また、神経のところに腫瘍(ガングリオンなど)ができてしまい神経を障害して生じることもあります。
症状
治療
肘の安静と、痛みに対しては鎮痛剤、しびれに対しては神経障害に対する薬を使用します。
障害されている神経周囲への注射によって症状が改善する場合もあります。
麻痺症状が強い場合などは、手術を検討する必要があります。
投球動作の繰り返しによって起こる肘の障害で、肘関節を保護している軟骨や靭帯、筋肉、腱などが損傷する病態の総称です。痛みの部位によって「内側型」、「外側型」、「後方型」に分類されます。
「内側型」は、内側側副靱帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)、内側上顆裂離骨折(ないそくじょうかれつりこっせつ)があります。
「外側型」は、離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)などがあります。
「後方型」では、疲労骨折や骨棘(こつきょく)形成によるインピンジメントが起こります。
症状
治療
多くの場合、投球の一時休止が必要になります。本人はもちろん、ご家族・所属チームのスタッフにも投球の一時休止の重要性を理解していただくことが治療の大きな第一歩です。早期に発見・診断できれば、多くは手術しなくても治癒する可能性があります。その間、投球フォームの見直しや肘以外の肩・手・体幹・下肢など全身の筋力や可動域(柔軟性)などの評価を行ったうえで、強化していくことが非常に大切です。病状の進行が強い場合には手術が必要な場合もあります。違和感を感じたら、投げ続けることは非常に危険ですので、我慢せずに早めにご相談ください。
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