
縫わないばね指手術
縫わないばね指手術
指を曲げ伸ばしした際に、ばねのようにカックンと引っかかる感じになる症状が特徴であることから「ばね指」と呼ばれ、正式には屈筋腱狭窄性腱鞘炎という病気です。
手をよく使うことで発症することが一般的に知られていますが、更年期以降の女性に多くみられることから、ホルモンの影響なども関連するといわれています。
また、糖尿病や透析患者さんなどにも発症しやすい疾患です。
指を曲げる腱(屈筋腱)と、その通り道である腱鞘との間で炎症が起こり、腱と腱鞘がそれぞれ繰り返す摩擦などによって腫れてしまい、スムーズに動かすことができなくなります。
それによって、痛みや曲げ伸ばしの際に引っかかる症状がでてしまい、悪化すると関節が硬くなってしまうこともあります。
局所の安静
手を休ませることで症状が改善することがあります。
薬物療法
疼痛や炎症が強い時期には、一時的に消炎鎮痛剤や漢方薬などのお薬が有効な場合があります。
ステロイド注射(腱鞘内注射)
炎症をしっかりおさえてくれるステロイドという薬を局所に注射することで、症状の緩和が期待できます。ただし効果がでやすい反面、腱などの組織をいためてしまう危険性があります。
そのため、頻回の注射はさける必要があり、できれば1指につき合計1~3回までにしておくことが望ましいと考えられています。
上記の治療をおこなっても治らない場合
腱鞘切開術という手術が必要になります。
当院では、この手術のために開発された特殊な機器を用いることで、約2mmの皮膚切開でばね指手術(腱鞘切開術)をおこなうことができます。
従来の手術では、約15mm皮膚を切開するため、手術終了時に皮膚縫合が必要となり、傷の処置や抜糸がすむまでの約10日前後、水仕事ができないという欠点があります。
これに対して当院の手術では、皮膚切開が2mmと非常に小さな傷でおこなうため、皮膚縫合そのものが不要で、術後早期から手洗いも可能となるため患者さんにやさしい画期的な治療方法です。
術後の痛みや腫れも少なく、早期に元の生活に復帰できる、という大きな利点があります。
また、エコーを併用することで、神経など周辺組織の損傷などのリスクを低減するとともに、正確で安全な手術(腱鞘切開)をおこなうことができます。
また、「切らない腱鞘切開」をおこなう施設もありますが、神経損傷のリスクが高くなることが懸念されるため当院では施行しておりません。
縫わないばね指手術 | 通常のばね指手術 | 切らないばね指手術 | |
---|---|---|---|
傷の大きさ | 2~3㎜ | 15mm | 1~2mm |
抜糸 | 不要 | 必要 | 不要 |
術後の痛み | 少ない | 多い | 少ない |
指神経損傷 | 少ない | 少ない | 危険 |
水の使用 | 早期に可能 | 抜糸後(約10日間) | 早期に可能 |
社会復帰 | 早い | 遅い | 早い |
切り残しのリスク | 少ない | まれ | やや高い |
ばね指手術は、保険適応手術です。
3割負担で、手術料として1指につき約7,000円です。
その他、検査や処方など別途費用がかかります。
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